主な病気と治療方法

尿路結石

はじめに

尿路結石とは、腎臓で作られた尿が通る道である、腎盂腎杯、尿管、膀胱、尿道などに石ができることです。結石が尿管にひっかかると、尿管の動きとともに激しいわき腹の痛みが生じ、また尿が下流に流れないと上流で尿がたまり淀んでしまうため、尿路感染や腎臓の機能障害などが生じます。

検査・診断

尿検査、腹部超音波、腹部CT、腹部X線写真などにより、結石の有無や、結石の上流の尿がたまっていないかを確認します。結石を伴う発熱がある場合は、血液検査を行います。

治療

尿管結石の治療にはおもに薬物療法と手術療法があり、結石の大きさに応じて治療法を選択します。10ミリ以下の尿管結石に対しては、薬物を用いて自排を促進させます。
一方、10ミリ以上の結石や、小さくても1か月を超えて自然排石されない場合、薬剤で疼痛管理ができない症例においては、何らかの破砕治療が必要になります。
破砕治療としては、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、経尿道的結石破砕術(TUL)、経皮的結石破砕術(PNL)が主な選択肢となります。近年では治療が困難な症例には、TULとPNLを組み合わせた複合手術(ECIRS)も行う場合があります。結石の位置や大きさ、推定される固さなどによって最適な治療法を検討します。詳しくは担当医にお尋ねください。

予後・療養

尿路結石は、とりわけカルシウム結石の5年再発率は45%と非常に高く、再発予防が大切です。排出された尿路結石の成分分析を行い、その結果に基づいた生活指導や薬剤の介入を行います。

尿路結石とは

尿路結石とは、腎臓内の腎盂・腎杯や尿管、膀胱、尿道などの尿路に結石が形成される病気であり、さらに結石のある部位によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分類されます。小さい結石であれば、尿の流れとともに排泄されることがありますが、痛みなどの症状がある場合や、腎機能に障害を起こす可能性がある場合などは治療する必要があります。結石の原因としては、多くの場合は飲水や食事など生活習慣によるものが多いですが、代謝異常、内分泌疾患などが原因となっていることもあります。

検査・診断

尿検査、腹部超音波、腹部CT、腹部X線写真などにより、結石の状態、結石が尿の通過障害を起こしていないかを確認します。尿の通過障害や尿路感染、代謝異常を疑う場合などには血液検査も行います。特に腹部CTは、結石の種類にかかわらず全ての結石を同定することができますので、結石を疑った場合の基本検査となっています。

症状

腎臓にあった結石が尿管に移動したり、あるいは尿管内の石がさらに下降したりして、尿管に結石が急につまると、激しい痛みを生じます。痛みの種類は2種類あり、結石がはまり込んだ部分ではその部分の尿路粘膜が引き延ばされることで激しい痛み(疝痛)を生じ、さらに結石が尿の流れを障害することで、上流の腎臓内(腎盂・腎杯)が尿で引き延ばされ(水腎症)、鈍い痛みを生じます。結石が動いて尿の流れが改善すると、痛みが一時的に良くなるのも尿路結石の特徴です。また結石が尿路粘膜を傷つけることで、血尿が見られることもあります。

治療

結石の大きさ、位置、成分などにより様々な治療選択肢があります。
5mm以下の結石は自然に排石することが多いので、保存的治療を行います。5mm以上になると自然排石率は低下し、10mm以上の場合には自然排石はほとんど期待できません。そのため10mm以上の結石や、小さくても1か月を超えて自然排石されない場合、薬剤で疼痛管理ができない症例においては、何らかの破砕治療が必要になります。

結石溶解療法
尿路結石のほとんどを占めるカルシウム結石は薬剤での溶解が期待できず、自然排石もしくは手術による破砕が必要になります。尿酸結石とシスチン結石のみ、アルカリ性の溶液中で溶解することが知られており、尿をアルカリ性にするためにクエン酸製剤を投与します。さらに尿酸結石では、高尿酸血症を伴う場合には尿酸の生成を抑制する薬を、シスチン結石では、尿中のシスチンを溶けやすくする薬(チオラ)を投与します。
飲水
自然排石が期待できる場合、積極的に水分を摂って尿量を増やすことにより、結石の排出を促進します。ただし痛みがある場合には、さらに尿の停滞を増加させ、痛みが強くなるので、痛みがない時に飲水をしていただきます。
外科的治療(破砕)
保存的治療で排出しない結石や、サイズが大きくて自然排出が期待できない結石は、外科的治療によって結石を破砕する必要がありますが、その方法としては体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、経尿道的結石破砕術(TUL)、経皮的結石破砕術(PNL)が主な選択肢となります。さらに結石が大きい場合や複雑な症例などではTULとPNLを組み合わせた複合手術(ECIRS)を行う場合があります。結石の位置や大きさ、推定される固さなどによって最適な治療法を検討します。詳しくは担当医にお尋ねください。
体外衝撃波破砕術(ESWL: Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy)
X線や超音波で尿路結石に標準をあわせ、体の外から衝撃波を結石に向けて当て(2000~3000発を30分程度で当てます)、尿路の中で結石を細かく砕く治療です。砕かれた小結石片は、尿とともに徐々に自然排出されます。主に2cm以下の腎結石や上部の尿管結石がよい適応となりますが、排石については自然排石に期待することになります。詳細な適応は、結石の位置、大きさ、経過によって異なりますので、主治医と相談してください。当院では行っておらず、希望される場合には関連施設へ紹介となります。
経尿道的腎尿管砕石術(TUL: Transurethral Lithotripsy)
泌尿器Cure & Care Uro-Lo、
21(5)、p32、2016
(射場昭典、経尿道的尿管結石砕石術って
どんな手術?)より転載

内視鏡(尿管鏡)を尿道から膀胱、さらには尿管内へと挿入し、結石を破砕、摘出を行う手術です。尿管鏡は硬性(金属製で硬い)あるいは軟性(胃カメラのようにファーバー製で軟らかい)があり、結石の場所などによって使い分けます。結石の破砕はレーザーで行い、破砕した結石片はバスケット鉗子などで取り出します。従来は尿管や腎盂のみで行われていましたが、機器や技術の進歩により、比較的大きな腎結石や複雑な腎結石に対しても行っています。長所は尿路に沿ってカメラを入れることで身体を傷つけることなく結石のみを破砕できること、破砕した結石片をカメラで確認して取り除くことができることです。短所としては、結石が大きい場合、一度に破砕できる体積に限りがあるため、数回に分けて手術を行う必要があることです。

経皮的腎砕石術(PNL:Percutaneous Nephrolithotripsy)
泌尿器Cure & Care Uro-Lo、
21(5)、p44、2016
(井上貴昭、ESWLとPNLの併用って
どんな手術?)より転載

背中から腎臓内の尿路に経路を作成し(エコーガイド下に背中から細い針で腎臓を穿刺し、徐々に太い管に入れ替えながら、最終的に直径1cm程度の皮膚から腎臓内までの通路(腎瘻)を作ります)、内視鏡を挿入することで腎臓(腎盂・腎杯)内の結石や上部尿管の結石を破砕して摘出する手術です。身体へ穴をあけて治療を行うために侵襲は大きくなりますが、大きな結石の治療も行うことができます。結石の破砕は、超音波やレーザーなどで行い、破砕した結石片は鉗子などで取り出します。

内視鏡併用腎内手術(ECIRS:Endoscopic Combined Intrarenal Surgery)

腎結石に対するPNLとTULを併用する内視鏡治療。複雑な腎結石に関しては,PNL単独治療と比較して高い治療効果が期待できます。

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